こんにちは。摂津市会議員団です。

[2021.6.28] -[議会報告]

学校教育におけるICT機器の利活用を適切に進めるための意見書に反対ーー2021年第2回定例会

 公明党が提案していた「学校教育におけるICT機器の利活用を適切に進めるための意見書」について日本共産党議員団は反対しましたが、賛成歌数で採択されました。

 採決の前に、弘議員が反対討論にたち意見を述べました。

 討論内容は以下の通りです。


 日本共産党市会議員団を代表して、議会議案第6号「学校教育におけるICT機器の利活用を適切に進めるための意見書(案)」に対する反対討論を行います。

 まず最初に日本共産党は、教育におけるICT機器の有効活用についてを否定するものではありません。しかし、今子ども達に最も必要なのは、人と人との関わりの中で育まれる公教育の意義の発揮であり、一刻も早い少人数学級の実現こそ求められていると考えています。子ども達の学校生活は、行事や実技の教科だけではなく、個別学習・グループ学習・全体学習を通じて友達と意見交換をする中で、深い学びへと導かれていきます。集団的な学びにこそ公教育の意義があります。コロナ禍にあっても感染予防への充分な対策・配慮と、教職員が子ども達に目配りして適切な学習が進められるように、少人数学級の早期実現が必要です。

 ところが、2021年度の文部科学省予算は、少人数学級実現のための予算が含まれてはいるものの、教職員の給与等にかかる支出については前年度比で58億円減となっています。これに対して、GIGAスクール構想の充実などICT化のための予算の充実は263億円と多く盛り込まれています。意見書(案)では支援員の加配や教職員の研修などを求めていますが、そもそも教職員の確保・増員による少人数学級の早期実現が先決事項であり、そのための予算こそ増やすべきです。 

 また、ICTや先端技術を使い、一人一人の子どものデータを分析し、それぞれの子どもに「最適化」された学習内容を提供しようとする「個別最適化された学び」と言われますが、教育の孤立化、画一化につながる恐れがあります。

 そもそも、経済産業省の「『未来の教室』とEdTech研究会」の提言や、文部科学省の「Society5.0に向けた人材育成」の提起は、生産性の向上に役立つための人材を育成するという経済界の要求によるものですが、「人格の完成を目指す」という教育本来の目的から外れる上、「個人の情報の管理」の名目で民間業者の儲けのために学習データを利活用させることにもつながり、個人情報保護の観点からも重大な問題があります。

  最後に、大阪市では緊急事態宣言下で、準備が不十分なまま市立小中学校でのオンライン授業をトップダウンで押しつけ、現場の混乱や保護者の不満を生じさせる大きな問題になりました。これは教育の自立性の点からも許されるものではありませんし、加えて教育へのICT導入は、混乱の中で性急に進めるべきものではないということもあらわしています。ICTの活用には様々なプラス面での可能性があるものの、一方で健康被害の可能性も指摘され、また経済的な教育格差の懸念など、課題は山積しています。いかなる時にも子どもに寄り添い向き合える学校教育へと公教育の在り方を見つめなおし、コロナ禍のいまだからこそ少人数学級の早期実現に力を注ぐべき時であるということを重ねて申し上げ、反対討論とします。